SGT2024「法学講座 ~裁判員制度について知ろう~」
12月21日(土)の終業式後にSGT法教育講座を行い、43人が参加しました。講師は静岡地方裁判所の國井恒志裁判官です。成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳から裁判員に選ばれるようになりました。そこで、裁判員制度や裁判員裁判に興味を深めてもらうことを目的に、今回のSGTを裁判所との共同企画で実施しました。
今回は架空の事件をもとに、本校の視聴覚室を法廷に見立てて机を配置し、模擬裁判を行いました。架空の事件とは、ある木造アパートに住む住民が、自分の住むアパートの玄関横に置かれた可燃ゴミのゴミ袋に火をつけ放火しようとしたが、火災に気づいたアパート所有者が消火し未遂に終わったという「現住建造物等放火未遂」事件でした。放火の疑いにかけられた住民が被告人となって模擬裁判が進められました。
事前に生徒には裁判官、検察官、弁護人、裁判員の役割を決めておき、模擬裁判のシナリオを読み上げながら、実際の裁判がどのような流れで進んでいくのかを体験しました。この事件での被告人は、警察の長時間の取り調べに対して、刑事から「単なるボヤ騒ぎだから、罪を認めれば裁判にならない。逆に認めないと、このまま身柄を拘束して裁判になる。」と言われ、自分は放火していないのに自分がやったと自白してしまったという設定でした。さらに、このアパートの所有者であり、火災に気づいて消火した人物が証人として、「被告人が放火しているのを見た。夜であったが、満月の夜で放火犯が被告人に似ていた」という証言も模擬裁判のシナリオに組み込まれ、被告人が有罪になるかどうかを審議するという流れでした。
模擬裁判後には被告人が有罪になるかどうかを、裁判官役の生徒と裁判員役の生徒が5つのチームに分かれて話し合いました。実はこの事件が起こった日は新月の日であり、証人が発言した「満月の夜」という内容は事実と矛盾していました。また、被告人と証人はそれほど面識があったとも言えないことも、模擬裁判の中で明らかになっていました。そこで、今回の模擬裁判ではどのチームも証拠不十分であり証人の発言内容も信用できない、被告人の自白も強要されたことにより事実とは異なる可能性が高いという理由で「無罪」という結論を出しました。また、今回の模擬裁判を通じて、自白重視は人権侵害や冤罪にもつながるということも学びました。
模擬裁判の体験後は、生徒たちから講師の裁判官へ様々な質問や感想が飛び交いました。
- 裁判のしくみや流れについて説明を受けます。
- 視聴覚室を法廷に見立てて左側に弁護人、右側に検察官、中央に裁判官、奥に裁判員の形に座ります。
- 裁判官役(中央)が被告人役(右側手前)に対して冒頭手続きを行っています。
- 証人尋問を行う前に全員起立して、証人役は噓をつかないという宣誓書を読み上げています。
- 模擬裁判後に裁判員役の生徒と裁判官役の生徒で有罪になるかを審議しています。
- 審議後に裁判官役の生徒が被告人役に判決を申し渡しています。